霊性入門講座

C39 愛の極意


火の講座では、わたしたちの心を愛で満たすことをお話しました。人間がしなければならないことは、突きつめて言えば、これ以外には何もないのです。無条件、無差別に、すべての人、すべての生き物、すべての自然を愛してください。
 
ポイントを二つお話します。
 
 一つは「無条件に」ということです。私たちの世界は因果応報という原理で動いています。私たちの心の中にも、無意識のうちに、この原理が支配的な力を持っています。よい者には褒美をあたえ、悪い者には罰を与える。価値の高いものは大切にし、価値のないものには見向きもしない。それが私たちの世界の常識になっています。
 
けれども、「愛」はよいものに対する褒美ではありません。「愛」は相手が持っている価値に対する対価ではありません。私たちは「愛」によって何かを買うわけではないのです。私が「嫌いな人にも愛を送りなさい」と言うと、そのことによって相手が変わることを期待する人がいます。けれども、見返りを期待するなら、それは愛ではありません。「愛」は常に無条件です。相手がよいか悪いか、価値があるかないか、自分がそれを好きか嫌いか・・・そのようなことに一切無関係に愛するのが「愛」なのです。
 
あなたは「愛の天使」であると想像してください。あなたは空を飛びながら、人々の上に「愛の香水」を振りまいていきます。あなたは悪い人を見つけます。人殺しや泥棒がいます。友達をいじめる少年達もいます。あなたはどうしますか。「これは悪い人たちだから、愛をあげるのはやめましょう」と言いますか。もしそうなら、あなたは愛の天使ではありません。愛の天使は、悪いことをする人たちが、ほかの人よりももっと沢山の愛を必要としていることを知っています。愛の天使は、悪い人がいたら、「この人たちは愛が不足しているのだから、もっと沢山の愛をあげましょう」といって、もっともっとたくさんの愛を振りまいてあげるのです。
 
 実は今でも天使たちはそうしています。それなのに、どうして世の中に悪い人がなくならないのでしょうか。それは、天使たちのくれる愛があまりにも上等の愛なので、悪いことをする人たちはそれを受け取ることができないからなのです。それはちょうど、周波数の低いチャネルにダイアルを合わせているテレビで、高い周波数のチャネルを受信できないのと同じです。
 
そこで、私たち人間の出番になります。私たちが送る愛の波動は、天使たちの愛の波動よりもずっと低い波動です。だからこそ、誰でも受け取ることが出来るのです。地球の人間にとっては、同じ地球の人間から送られた波動がいちばん受取りやすいのです。ですから、このことに気づいた人は誰でも、絶え間なく愛の波動を、すべての人に送り続けてください。目の前にいる人でも、いない人でも、かまいません。有名な人でも無名の人でもかまいません。心の中に誰かのことが浮かんだら、その人に愛を送ってください。
 
どのようにしたらいいのでしょうか。それには、「この人の人生が、この人にとって、最善の人生でありますように」と祈ってあげてください。心の中に、そういう思いを持つだけでいいのです。私たちは誰も、他人にとってどんな人生が最善の人生なのか、知ることはできません。ですから、その人の人生について、あれはよいとか悪いとか、判断する必要はありません。ただ「あの人にとって最善の人生が、あの人に訪れますように」と祈ってください。
 
「あのひとにとって最善の人生」というのは大事な言葉です。「あなたが最善だと考える人生」ではないのです。ふつうの人にはとてもよい人生と思えないような人生が、その人にとっては最善の人生だ、ということもあります。ですから、具体的な内容には触れずに、「ただ、あの人にとっての最善が、あの人に与えられますように」と祈ってください。
 
もう一つのポイントは「心を先に」ということです。私たちは、眼に見える何かをしなければ、何もしたことにならないという考えになじんでいます。心に思うだけでは何の役にも立たない、と思っています。逆に、心に思うだけなら何を思ってもかまわない、と考えています。確かに、「あいつ、殺してやりたい」と思っても、実際に実行しなければ、罪にはなりません。けれども、それは法律の世界のことです。霊性の法則は、そうではありません。
 
キリストは「人を憎む者は、心のうちに殺人を犯したのである。人の持ち物をうらやむ者は、心のうちに盗みを犯したのである」と言いました。霊性の世界では、心がすべてなのです。まず、心のうちに愛を抱くことを心がけてください。
 
心のうちに愛が満ちてくれば、それはたしかに、その人の行動にあらわれるようになるでしょう。けれども、性急に行動にあらわれることを追い求めず、まず、心のうちに愛を満たすように心がけてください。心のうちに愛がなくても、愛のある人の行動を真似ることは出来ます。けれども、そのようにしてなされた行動は役に立たないだけでなく、自らの心を偽ることによって、その人自身を破壊してしまいます。
 
自分の心に正直でいてください。嫌いな人がいたら、嫌いでいいのです。出来るだけ、その人と交わらなくてすむように工夫してください。けれどもその場合でも心の中では、「その人の人生が、その人にとって、最高の人生でありますように」と祈ってあげてください。あなたの嫌いな人が幸せになったからといって、あなたに何か損害が生じるわけではありません。それどころか、地球の上に幸せな人が一人増えたら、地球の波動はそれだけ高くなります。そうすれば、あなたの幸せも実現しやすくなるでしょう。
 
これが無条件の愛ということです。好きな人にも嫌いな人にも愛を送り、よい人にも悪い人にも祝福を贈ってください。
 
このようにして、あなたが、すべての人、すべての物事に愛と祝福を振りまくことが出来るようになったら、あなたの住む世界は次第に変わってくるでしょう。それは、あなたの振りまく祝福が、すべて自分に帰ってくるからです。外の世界に祝福を振りまくのは、実は自分自身に祝福を振りまくことなのです。なぜなら、あなたが見ている世界というのは、あなた自身の心の中だからです。

2006年12月11日

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