霊性入門講座

C23 心の中のカーニバル


前回、「あなたも中学生になったのだから、お部屋を少し片付けなさい」と言うお母さんの話をしました。いま、あなたは、霊性を取り戻すことに関心があります。そうでなかったら、あなたはいま、このページを読んではいないでしょう。いま、あなたのそばには、あなたのお母さん役の天使がきて、こう言っています。
「あなたも、霊性に関心を持つようになったのだから、あなたの心の中を少し片付けなさい」。 

そうです。私たちが霊性を取り戻すためにしなければならないことは、ただ一つしかありません。それは、私たちの心のなかからガラクタを取り除くことです。
 
ガラクタとは何でしょうか。それは、地上的な尺度で見て、間違っているとか価値のないものということではありません。この世の尺度で見れば当然のこと、あるいは、むしろ価値があると思われることが、霊的な尺度で見ればガラクタなのです。それは、こどもが集めた宝物が、大人の目で見ればガラクタであるのと同じです。私たちが「大人になる」ためには、こども時代に集めた宝物を捨てなければならないのです。
 
心の中を掃除する方法はいろいろあります。いろいろな本に、いろいろな方法が書かれています。ただ、残念なことに、どの方法も、すべての人に有効であるとは限りません。結局は、一人一人が自分に適した方法を見つけなければならないのです。そして、何よりも、根気よく気長に取り組むことが必要です。注射を一本打てば二日酔いが覚めて頭すっきりという具合にはいきません。
 
これから、いくつかの方法をお話します。それを参考にしながら、自分の方法を作り出してください。
 
まずはじめに、今回は、心の中に注意を向けるということに取り組んでみましょう。ふだん、私たちの関心は「外の世界」ばかりに向いています。地球の反対側で起こった大きな事件から身の回りの小さな出来事まで、とにかく私たちの関心は外に向きっ放しです。けれども、心の中を掃除するためには、心の中に注意を向けなければならないのです。

とりあえず心の中に注意を向けてみてください。その方法は「瞑想」と呼ばれますが、難しく考える必要はありません。とにかく自分の注意を自分の心に向けることです。自分の心の中に何があるか見てみよう、という気持ちで、心の中を感じてみてください。無理に目を閉じなくても結構です。少し慣れれば、ほかの事をしながらでもできます。
 
心の中をいろいろな考えが忙しく走り回っているのが分かりますか。心配事もあるかも知れません。小さな怒りや、小さな不満もあるかも知れません。「いいこと思いついた」という小さなアイデアもあるかも知れません。考えだけでなく、感じていることにも注意を向けてください。心の中のあちこちが、暖かかったり、冷たかったりするのが分かりますか。足の指の先が痙攣したり、わき腹がねじれるような感じがするかも知れません。それは、心のエネルギーのゆがんだ流れを体の細胞が感じているのです。意味は分からなくても結構です。いろいろなものがあることに気づいてください。
 
心の中に注意を向けるとき、できるだけ頭を使わずに、胸の辺りで「感じる」つもりになってください。頭で考えても、何の役にも立ちません。この考えは良い考えだとか、これはつまらない考えだとか、この感情は何だろうとか、考えないようにしてください。そんなことを考えても何の役にも立ちません。頭を使わずに胸を使うのがコツです。
 
心の中にあるたくさんの考えの一つ一つに付き合う必要はありません。たとえば、心配事に気づいたとき、一緒になって心配するのではなく、「ああ、こういう心配事があるな」と思うだけにしてください。それ以上、その心配事と付き合う必要はありません。どんな考えがあるかに気づくのが目的であって、それをいま考えたり、そのどれがよくて、どれが悪いかを判断したりするのが目的ではないのです。
 
何も判断せずに、どんな考えがあるかに気づいてください。感情についても、記憶についても、同じです。ただ第三者的に、たくさんの考えや、感情や、記憶の断片があることにに気づいてください。黙って眺めていてください。ある人は、カーニバルの行列を見るのと同じだといいました。いろんな衣装をつけ、仮装をした人たちがにぎやかに通り過ぎたり、踊ったりするのを眺めてください。けれども、自分はその行列に加わらないで、あくまで見物人でいてください。
 
適当な時間が過ぎたら、黙って心にふたをして、いつもの生活に戻ってください。5分から10分ぐらい、長くても30分以内に終わってください。

このようなことを、毎日、1回から数回、繰り返してください。複数回行う場合は、朝と夕というように、あいだに時間を空けてください。
 
このようなことを数ヶ月続けていると、心の中に注意を向けることが習慣になります。無理をせずに、心の中にたくさんの考えや感情が動き回っているのを感じ取れるようになります。そして、それに引きずられないで、第三者的に眺めることができるようになります。
 
これが心の掃除をするための最初のステップです。とりあえず、そこから取り組んでみてください。

2005年8月1日

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