霊性入門講座

C37 永遠を超えるもの


この霊性入門講座もそろそろ終わりに近づきました。今回から、これまでにお話したことを振り返りながら、おさらいをしていきたいと思います。
 
今回は、最初の「風の講座」です。ここでは、人間が霊(スピリット)であって、肉体という物質の塊ではないということをお話しました。このことは、これからの私たちの生き方の基本ですので、もう一度思い出して、そのことをしっかりとあなたの心の土台にすえてください。これは、あらゆる宗教の根底にある「悟り」です。これがなかったら、どんな教えもただの処世訓に過ぎません。これがあるかないかが、宗教と処世訓の分かれ目なのです。
 
では霊(スピリット)とは何でしょうか。
それは「言葉では表現できない・・・」というのが伝統的な宗教の教えであり、また、実際、それは本当だと思います。スピリットを説明する語彙は、人間の言葉の中にはないのです。けれども、そこで終わってしまったら先に進めません。何も言えないのなら、こんな講座を開くことすら意味がないわけです。そこで、私は、その先を続けます。
 
スピリットとは、人間の言葉で表現するなら、「意識」である、というのがもっとも近い表現だと思います。意識というのは「気づいている」という意味です。あなたは、自分が存在していることに気づいています。あなたのからだの外に、広い世界があることに気づいています。あなたの心にいろいろな考えが浮かぶことに気づいています。あなたの心に起こるさまざまな感情に気づいています。

 
この「気づいている」というのが「意識」です。そして、あなたがスピリットであるということは、あなたはその「気づき」である、ということなのです。気づいていること、そのものがあなたなのです。

これは何か意識を持った生き物がいて、それが考えたり感じたりしている、という意味ではありません。「生き物」というのは、その「意識」が考えたイメージに過ぎません。
 
あなたは「私は肉体を持っている」と考えています。あなたは「これは私の身体である」と言います。けれども、それは、肉体があるから、あなたが肉体があると感じるわけではありません。純粋の「意識」であるあなたが「私は肉体を持っている」と考えているので、あなたは「自分には肉体がある」と感じるのです。
 
あなたは、肉体ではありません。肉体は存在していません。「意識」が肉体が存在すると考えているだけです。けれども、そこから、私たちが体験するすべての世界が生まれてきます。私たちは、肉体があると感じ、肉体が成長するのを体験し、肉体を通じて、喜びや悲しみや、快楽や苦痛を体験します。やがては肉体の死さえも体験します。けれども、肉体が死んでも、あなたが死ぬわけではありません。あなたは肉体ではないからです。純粋の「意識」であるあなたは、肉体が死んだ、私は死んだ、と考え、それを体験します。けれども、あなたは死にません。ただ、「私は死んだ」という体験をするだけです。
 
スピリットには、形も大きさも色も重さもありません。なぜなら、それは、ただの意識だからです。それはただ「気づく」という能力です。それ以外には、何もありません。
 
天文学者は、何百億年か何千億年かののちには、宇宙がなくなると言います。けれども、宇宙が終わっても、「意識」は存在し続けます。なぜなら、宇宙とは「意識」が考え出したものにすぎないからです。時間がなくなっても、空間がなくなっても、「意識」は存在し続けます。なぜなら、時間も空間も「意識」が考え出したアイデアに過ぎないからです。
 
「意識」が何も考えず、何も作り出さなかったら、何も存在せず、何も感じられない、という状態が続くでしょう。それでも、「意識」は存在します。なぜなら、「無」というものも、「意識」が考えたものに過ぎないからです。「意識」はただ「今は何もない、だから何も感じられない」と考えるだけです。
 
このように、「意識」は存在も非存在も超え、永遠さえも超えています。そして、このように存在も非存在も超え、永遠さえも超えた「意識」が、「あなた」なのです。
 
このことを、何度も何度も、繰り返し考えてください。それがあなたの心の隅々に浸透し、体の細胞の一つ一つにしみこむまで、繰り返し考えてください。このことが本当にわかったら、あなたには、もはやどんな宗教も哲学も要らなくなります。あなたは、ただ、その「意識」であり続ける・・・・それでいいのです。
 
そして、それが、私がこのホームページでお話していることのすべてなのです。

2006年10月8日

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