霊性入門講座

C20 光を浴びて


今から2500年ほど前のこと、インドのシャカ族の王子であったお釈迦様は、人々が病気になったり、年をとって衰弱したり、愛するものと死に別れて嘆き悲しむのを見て、この苦しみを何とかして取り除いてあげたいと思い、王子の身分を捨てて僧門に入り、厳しい修行をしました。そして、ついに菩提樹の下で瞑想をしているときに悟りを開いた、と伝えられています。
 
お釈迦様の悟りとは一体なんだったのでしょうか。
 
それは「この世というのは夢なのだ」ということでした。それは、悪夢にうなされていた人が、目が覚めて、「ああ、あれは夢だったのだ」と安心するのと同じです。お釈迦様は、人々に悪夢から覚める方法を伝えようとして話を始めました。それが仏教という宗教の始まりです。

後世の数々の偉いお坊さんや学者が、さまざまな難しいことをたくさん言いましたので、仏教の教えも難しく感じられますが、突き詰めれば、「この世は夢である」ということに尽きると、私は考えています。
 
私はいままでに何度か、「これは夢だ」と思いながら夢を見ていたことがあります。けれども、ふつう私たちは――私も含めて――夢を見ているときには、それが夢だとは思っていません。夢から覚めたときに、はじめて、「ああ、あれは夢だったのだ」と思うのです。
 
私は、昔、弟と喧嘩をする夢を見たことがあります。夢の中では、私と弟は別の人物で、何かをきっかけに喧嘩を始めました。けれども、夢が覚めてみれば、夢の中の私も、夢の中の弟も、どちらも私の意識の中に存在した幻影に過ぎないとわかります。現実にも、私には弟がいますが、別に喧嘩したりはしていませんでした。
 
私たちが体験しているこの三次元の現実というのは、これと同じような一種の夢なのです。もちろん、これは私たちの肉体が見ている夢ではありません。なぜなら、肉体というのは、私の「夢の中の私」――弟と喧嘩した私――のように、それ自体が夢の中の幻影だからです。
 
本当の私は夢の中の私ではなく、夢を見ている私です。夢を見ている私は夢の中にはいません。その姿は夢の中からはわかりません。それと同じように、三次元の地球世界という夢を見ている「本当のあなた」は、夢の中――この三次元の現実――にはいません。私の夢のすべてが私の頭の中にあったように、あなたが見ているこの宇宙は、すべてが本当のあなたの意識の中にあるのです。
 
霊性の回復とは、この夢から覚めることです。私は夢の中で弟と喧嘩をしました。本当の私には、本当の弟もいますが、本当の私と本当の弟は喧嘩をしていません。あなたの見る三次元世界の夢も同じです。その中では、あなたは金持ちになったり貧乏になったりします。恋人や配偶者と喧嘩をしたりします。遠くのほうでは、戦争があったり、飢饉があったり、地震や竜巻で大勢の人が死んだりします。
 
けれども、夢の中ではない本当の世界の中では、あなたは金持ちにも貧乏にもなりません。あなたには、必要なものがすべて与えられているからです。あなたは、恋人や配偶者と喧嘩することもなく、戦争や災害の噂を聞くこともありません。
 
霊性の回復とは、この三次元世界の夢から覚めて、本当の世界に目を開くことです。そのためには、私たちを夢に縛り付けるものを私たちの意識から取り除かなくてはなりません。この「水の講座」では、「心の汚れ」を取り除くという話をしてきました。この「心の汚れ」が私たちを夢に縛り付けるのです。「汚れ」というので、それは「よくないもの」という印象をもたれた方もあるかもしれませんが、そうではなく、それは私たちが地球という世界を体験する――あるいはその中に自分を表現する――ために必要な心の仕掛けだったのです。ただ、私たちが霊性を取り戻そうとする今は、それは要らないものになってしまいました。そこで、それを取り除く話をしてきたわけです。
 
今回は、水の講座の最後として、私たちの心をまとめてクリアにする話をしましょう。
 
私たちが朝、目を覚ますと、明るい太陽の光が目に入ります。その光を目にすれば、どんな悪夢もたちまち消え去ってしまいます。霊性の世界も同じです。悪夢のような三次元世界に目を閉じて、心の中で、霊界の太陽を思い描いてください。それは三次元世界の太陽と同じように頭の上で輝いていますが、三次元世界の太陽よりも何千倍も明るく美しい光を放っています。けれども、それは熱すぎることはありません。さわやかで心地よく、あらゆるものに命を与え、喜びと至福を与えます。
 
その美しい光が、あなたのまわりに充満し、あなたの体にしみ通り、あなたのからだの細胞の一つ一つを活性化してゆくと想像してください。さらに、その光はあなたの心にしみ込み、心のあらゆる傷を癒し、あらゆる感情をやわらげ、あらゆる三次元の固定観念を溶かしていくと想像してください。また、その光があなたのオーラを清め、すべてのチャクラを必要に応じて活性化し、あなたの中のすべてのエネルギーの流れを整えていくと想像してください。その想像はすべて実現します。
 
心の中に喜びと感謝を感じてください。三次元世界の何かがあなたにとって都合よくなるから感謝するのではありません。ただ、ふつうの太陽の光で日向ぼっこをするときのように、霊界の太陽の光の美しさと暖かさに浸って、喜びと感謝を感じてください。
 
毎日、朝目覚めてまだ寝床の中にいるときに、この光を思い出してください。夜、眠り込む前に、この光に包まれてください。一日のうち、何回でも、心の中でこの光を浴びてください。一回は数分で結構です。そして、一日のうちの出来るだけ長い時間を、愛と感謝の気持ちで過ごすように心がけてください。やがて、あなたの心は透明度を増し、それにつれて、次第に悪夢の幻影の隙間から、本当の世界の美しさがちらちらと見えるようになってくるでしょう。

2007年1月19日

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