霊性入門講座

C14 霊が住む世界


「あなたは今すでに霊である」といわれて、あなたはどんな気分でしょうか。何か自分が頼りないふわふわしたものになってしまったような感じがしているでしょうか。
 
「霊界」という言葉があります。霊界は霊が住むところですね。普通は「死後の世界」を意味していることが多いようです。私は、あの世もこの世も同じだといいましたが、しばらくそのことはおいておきましょう。

その霊界には、霊はどんな形で住んでいるのでしょうか。人魂のように、何か得体の知れない形をしたものが、ふわふわと漂っているような感じなのでしょうか。それとも、今の私たちが持っているような体を持って生きているのでしょうか。
 
死後の世界を描いた書物はいくつもありますが、ふわふわしているにせよ、形のある体をもっているにせよ、何かある広がりをもった世界の中に、その「霊」というものが存在しているという点では、みんな同じような描写をしているようです。
 
つまり私たちは、生きているにせよ、死んだあとにせよ、何かしら大きな世界、大きな空間の中で、小さな個別的な存在として存在するというイメージを持っています。その大きな世界のことを「外界」と呼ぶことにしましょう。小さな個別的な存在を「個体」と呼ぶことにします。つまり、私たちは、「生きているときも、死んだあとも、いつでも、何らかの外界の中に何らかの個体として存在する」というイメージを持っているわけです。
 
けれども実は、「私たちが霊である」ということは、「私たちがこれとはまったく違う存在の仕方をしている」ということなのです。霊は純粋の意識です。霊には形も大きさもありません。なぜなら、意識には形も大きさもないからです。意識が存在するのには、空間も時間も要りません。意識それ自体は「無」のようなものです。
 
その意識が形のある世界を想像し、「このような世界が存在する」と思います。そうすると、その意識にとって、そのような形のある世界が実際に存在することになります。なぜなら、意識自身が想像したものはみんなその意識にとっての現実になるからです。「外界」というのは、このようにして、純粋意識である霊が想像によって作り出した世界なのです。

さらに霊は、この世界の中に適当な体を考え、「自分はこの個別的存在である」と考えます。それによって、霊は外界の中に個体として存在するようになります。

これが、今の私たちの状態です。私たちは本当は純粋の意識です。それは、空間も時間もないところに存在しています。その純粋意識が、物質宇宙という世界を考え、その中に地球という星を作り、その上に住む一人の肉体を想像し、そして、「私はこの肉体である」と考えました。それで今、私やあなたは、「地球の上に肉体として存在している」という状態を体験しているのです。
 
私は、この世もあの世も同じだといいました。生きているときに住む世界も、死んだあとに住む世界も、同じ世界だといいました。それは、このことを言っているのです。肉体が死んだあとも、生きている今も、私たちが霊であるということは変わりません。変わるのはただ、これまでは「私は肉体である」と思っていた霊が、「肉体は死んだから今は死後の世界にいる」と考えることだけです。

このことは、死後の世界がなかったり、いろいろな本に描かれたその描写が間違っている、ということを言っているのではありません。ただ、生前であれ、死後であれ、「大きな外界の中にいる小さな個体」というイメージは、霊が想像した世界であって、本当の存在である霊は、そのような世界の中にいるものではない、ということを言っているのです。
 
霊が想像した世界は、どこにあるのでしょうか。それは、霊の意識の中にあります。それ以外に存在する場所はないのです。あなたが見ている世界は、全部あなたの心の中にあります。あなたが宇宙の中にいるのではなく、宇宙があなたの心の中にあるのです。そして、その宇宙の中にあなたの肉体があり、そしてあなたはその肉体が自分であると思っています。

あなたの肉体は死ぬことができます。肉体が死ぬと、魂が抜け出して、死後の世界に行きます。それも霊が描き出している別の世界です。その世界で、魂は、次の人生を計画し、また別の肉体を持ってこの世に生まれてきます。このようにして、一つの魂の転生の歴史が作られていきます。

けれども、そのすべては、霊であるあなたが、あなたの心の中に想像して作り上げた仮想の世界なのです。それは霊にとっての仮想世界です。肉体にとっての仮想世界ではないことに注意してください。もしあなたが、「自分はこの肉体である」と思い続けているならば、あなたにとってはこの世界は現実の世界です。転んですりむけば血が出るし、自動車にはねられれば死んでしまいます。あなたは自分は死んだと思うでしょう。それはあなたが「自分は肉体である」と思っているからです。けれども、あなたが「自分は死んだ」と考えるなら、あなたは死んではいない、ということになりますね。死んだものが考えることはできないからです。本当はあなたは死んではいません。ただ「自分は死んだ」と考えるだけなのです。
 
仮想と現実、霊と肉体、この関係をしっかり理解してください。

2004年11月1日

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