光の時代


L17 パソコンの中の宇宙(H5)


鏡というのは、なんとなく謎めいた魅力を持っていますね。鏡の中に、別の世界があるように見えます。鏡の中の世界の方が、美しく、なめらかで、輝いているように見えます。

「あの中に入って行けたら・・・」という好奇心や願望が、「もし入って行ったら何があるだろう・・・」という想像に変わり、ルイス・キャロルは「鏡の国のアリス」という物語を書きました。例によって、子供向けとは思えない辛辣で意味深い暗喩がこめられた物語ですが・・・。


ジャン・コクトーの「オルフェ」という映画(1949)にも、鏡の中に入って行くシーンがありました。鏡の中には「あの世」があり、鏡を通って死の女神が出入りしています。主人公のオルフェも、死んだ妻を追って鏡の中に入ります。オルフェが死の女神からもらった手袋をつけて鏡に手を差し込むと、突然鏡は水面のように柔らかくなり、ゆらゆらと揺れて、オルフェを飲みこみます。監督の腕の見せ所ですね。

鏡の中の世界は純粋に想像の産物でしたが、現在は、パソコンの画面の中に、宇宙が入り込んでいます。宇宙旅行をシミュレーションするソフトなどを使えば、パソコンの中に、宇宙船から見たのと同じような星空が映し出され、まるで実際の宇宙船に乗っているかのような気分で、よその星を訪問することができます。火星に行ったら、タコのような火星人が出てくるかも知れません。


これらは、人間の想像力と技術力によって作り出された世界ですが、実は、いま地球に住んでいる私たちは、まさにそのような、パソコンの中の世界に住んでいるのです――といっても、このパソコンは、この世のパソコンではありません。神の子たちの世界にあるパソコンです。神の子は神の分身です。永遠の生命と無限の知恵を持ち、愛にあふれた子どもたちです。その神の子たちが、パソコンの中に作られた「物質宇宙」の中に「飛び込んだ」のです。私たちはシミュレーションの世界に入り込んだ神の子たちなのです。

このシミュレーション・ソフトはものすごいソフトです。物質宇宙に存在するすべての銀河と星雲と恒星と惑星の全部を含み、さらにその上に住むすべての生命体と、それらの生命体の死後の世界まで含んだ広大無辺の世界の中で、起こり得るあらゆる出来事が全部作りこまれたソフトです。

これはシミュレーションですから、ソフトの中に作りこまれていない出来事は体験することができません。けれども、このソフトの中には、あらゆる可能性がすべて作りこまれているので、経験できないものは何もありません。その出来事の数は、無限の無限乗の無限乗くらいです。想像することもできない数です。

神はそんなソフトを作りましたが、シミュレーションソフトは実際にそれを動かして、その中に入り込んで、その出来事を体験しなければおもしろくありません。そこで、神は、自分の分身を、これも無限の無限乗の無限乗くらい生み出しました。そして、この神の子たちが、パソコンの中の「物質宇宙」に入り込み、その中の出来事を次々に体験し、その流れによって一つの物語を生み出しているのです。


私たちは、パソコンの中の世界に入り込んだ神の子です。私たちは神の分身ですから、私たちが体験することはすべて神自身の体験です。神はそのようにして、自らが生み出した無限の可能性の物語を、自ら体験するのです。

インドの古い哲学が伝えた「すべては神の遊び」という言葉は、現代風に翻訳すれば、こういうことなのです。



私たちは、神がつくったシミュレーションの世界を探検して歩きます。その中の一つ一つの出来事をどのようにつないでいくかには、無限の選択肢があります。私たちは一歩歩くたびに、次にどの方向に進むか、選択しなければなりません。これが、私たちに与えられた自由意思です。

どのような物語を作り出そうと自由です。すべては神のシミュレーション・ソフトの中です。どんな事件が起ころうと、神の子である私たち自身に危害が及ぶことはありません。「危険」という事柄は、シミュレーションの中にしか存在しないものなのです。

いま、私たち人類が作り続けている地球の物語は、素晴らしい曲がり角に来ています。もう少しで、戦いに明け暮れた闇の時代を抜け出して、愛と喜びに満ちた光の時代に入って行くところです。闇の世界も光の世界も、神のシミュレーションソフトに作りこまれていたものです。私たちは、「この暗い森を探検してみようか」といって、深い深い森の中に入って行きました。途中で道に迷い、永遠に出られないのではないかと思うような場面もありましたが、いま、私たちは、森のはずれまで出てきました。行く手には、光り輝く草原が広がっています。泉のほとりに、美しい花々が咲き乱れているのが見えます。

けれども、そこに行くためには、私たちが自分で歩かなければなりません。自分の意志で、光の満ち溢れる世界に入って行かなければなりません。


ここは、自由意志の世界です。あなたの意志を存分に働かせてください。それが、このシミュレーションの世界を探検するコツなのです。




2013年4月26日
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