光の時代

L6 感情を手放す方法(H11)


感情や想念を手放す方法については、A9 自分を愛するC26 想念を解放するC27 自分を受け入れるC38 心の絵の具など、ほかのページで少しずつお話していますが、それをある程度整理してまとめておいたほうが皆さんのお役に立てるかもしれないと思い、ここにまとめてみました。

   ☆  ☆  ☆

感情や想念を手放す方法は、いろいろな人がいろいろな方法を教えていますが、私は、基本は次の四つの点だと考えています。
 (1)自分の中にある感情を素直に認めること。
 (2)それを手放してもいいとはっきり決心すること。
 (3)手放そうとする感情に感謝すること
 (4)それをいまここで手放した、ということを自分自身に対して宣言すること。
の四つです。いろいろな方法は、それをできるだけ心の深いところで、心の全体で関与しながら、実行するための手段を提供しているのだと思います。
 
簡単に解説しておきます。
(1)は当然のことのように見えますが、実は私たちは自分の感情に気づいていないことがあります。例えば、私は60歳ぐらいになって、あるカウンセラーにかかったとき、「あなたにはお母さんに対する怒りがありますね」といわれました。これはまったく予期していなかった指摘でしたが、すぐに私は納得しました――「なるほど、人間の心というのは、そういう風に働くのだ」と。私が母に対する怒りを持ったのは、母と喧嘩したからではありません。私は子どもの頃、母に対して「いい子」でありすぎたのです。それは私が自発的にしたことなのですが、それに対して、私の心の半分が、「そんなに自分を犠牲にすることはない」と言って怒っていたのです。私はそのことに、60歳になるまで気づかなかったのでした。当然のことながら、自分で気づかない感情を手放すことは出来ません。ですから、自分自身の心を「あるがままに見る」ということはとても大事なのです。場合によっては、専門のカウンセラーやセラピストの力を借りないとわからない場合があります。
 
(2)は、自分で気がついた感情について、自分はその感情をどうしたいかということを確認することです。私たちは、自分にとって不愉快な感情だからといって、それを捨てたいと思うとは限りません。例えば、怒りをもっているときには、「悪いのはあいつだから、自分が怒るのは当然だ。あいつが謝らないのに、自分が怒りを手放すのは敗北だ」と感じて、怒りにしがみつくことがあります。別にそれが悪いというわけではありませんが、結果的に、それが自分自身にとって都合の悪い現実を作り出してしまうことがあるのです。
 
(3)は、ほかの教えでは必ずしも重要視されていないようですが、私は、これはとても重要だと思っています。それがどれほどネガティブな感情であろうとも、それはこれまであなたの一部であったのであり、それによってあなたは世界に二つとないあなただけの人生を体験してきたのです。感謝するということは、その感情をゆるすことであり、その感情を抱いた自分をゆるすことです。十分に感謝してください。そうすれば楽に手放せるようになります。
 
(4)は実際に、その感情を手放すことです。原理的には、ただ「私はこれを手放した」と自分自身に宣言するだけで十分です。けれども、それだけだと何となく心もとないので、さまざまなイメージを使って心の中で「儀式」を行います。儀式をするなら、十分に感情をこめて行ってください。以下に、いくつかのイメージ法を紹介しますが、イメージというのは、あなたが感情のエネルギーをコントロールするための道具に過ぎないのですから、あなたが自身が一番ぴったりだと思えるものが一番いいのです。そのことを忘れずに、自分で、自分用のイメージを工夫してください。
 
以下に、具体的な方法を4つ紹介します。
 
 
★ 最も簡単な方法――セドナ・メソッド ★
これは最近本で知りました。この方法の創始者はレスター・レヴェンソンという人で、米国アリゾナ州のセドナという町に住んでいたので、この方法がセドナ・メソッドと呼ばれるのだそうです。
最も簡単な方法といううたい文句の通り、簡単です。方法は四つのステップから出来ています。
  (1) 感じ方を変えたい事柄に焦点をあわせ、いま自分がそれについて感じていることすべてを感じます。
  (2) その感じを自分はどうしたいかを自分に尋ねます。手放すか、そのままおいておくか、を確認します。
  (3) (2)の答えが何であっても、この感情を手放しますか?と確認します。これはむしろ催促です。
  (4) いつ手放しますか?と尋ねます。これは、今すぐ手放しなさいという誘いなのです。
そして、この感情から自由になったと感じるまで、(1)から(4)を繰り返します。
くわしいことは次の本を読んでください。
  『人生を変える一番シンプルな方法』 ヘイル・ドゥオスキン著、安藤理監修、乾真由美訳、主婦の友社
 
 
★ 風船の方法 ★
私がよく使う方法の一つです。この方法は、特定の出来事などに付随した感情の記憶を解放するのに使えます。まず解放したい感情をしっかり思い出してください。それを出来るだけ深く味わってください。それから、それに形を与えてください。何かシンボルになる物体を想像してもいいし、特定の色や香りを持った気体や液体を想像してもかまいません。それをきれいな箱に入れて、クリスマスプレセントをつくるようなつもりで、丁寧にラッピングして、リボンをかけてください。それは、神様への贈物になるのです。その箱に赤い風船を結びつけ、それから青空に向かって放してください。箱を吊り下げた風船が次第に高く上がっていき、青空に溶けるように消えていく様子を思い描いてください。風船に向かって「ありがとう、さようなら〜」と言ってください。いままであなたの一部であった感情です。丁寧に別れを告げましょう。風船が青空に消えてゆくとき、胸を締め付けられるような思いがしたり、涙が出るかもしれません。素直にそれを味わってください。
 
 
★ 送迎バスの方法 ★
これも私がよく使う方法の一つです。これは特定の出来事についての感情というより、「怒り」なら怒り全部をまとめて放棄したいときに使えます。具体的に何に対する怒りであるかを思い出す必要はありません。心の中にあなたが立つ場所を想像してください。私はよく、胸の真ん中あたりに小さな広場を想像します。それは、都会の片隅にある小さな公園のような場所で、周りの木立を透かして都会の風景が見えます。私はその雰囲気が好きなのです。私は公園の中心に立って、たとえば、「怒りの子どもたち、出ておいで」と呼びます。すると、あちこちから子どもたちが出てきます。木立の陰や茂みの中から出てくる者もいるし、遠く街の路地から駆け出してくる子もいます。しばらく待っていると30人ほどの子どもたちが集まります。
そこで、幼稚園の先生になったようなつもりで、子供たちに話をします。
「皆さん、これまで一所懸命に働いてくれてありがとう。あなたたちのおかげで、私はこれまでとてもユニークな人生を体験することが出来ました。けれども、皆さんのここでの仕事は終わったので、これから神様のところに皆さんを送り返します。神様から、また新しい仕事の場所を貰ってください。」
そうして、神様の国から迎えのバスが来るのを想像します。それは、キティちゃんの飾りをつけた幼稚園の送迎バスのようなものです。バスが来ると子どもたちが乗り込みます。私は子供たちに手を振ります。
「ありがとう、さようなら〜」
バスが動き出し、次第に遠くなって行きます。私は手を振りながら見送ります。ちょっと切ない気分になります。けれども、そのあと、私は神様の国から入れ替わりに「光の子どもたち」がやってきて、いままで怒りの子どもたちがいた場所に入っていくのを想像します。そうすると、晴れやかな気分になります。
 
このようにして、怒りの子どもたちを送り返すと、もう怒りを感じることがなくなるのでしょうか。究極のところはそうなるかもしれません。けれども、当面はそうはなりません。また怒りを感じることがあります。けれども、もう怒りに振り回されることはなくなります。この段階にくれば、怒りは単なる警戒信号に過ぎないのです。何かおかしいことがあるぞ、という信号です。いったい何がおかしいのでしょうか。
 
ふつう私たちは、あの人はおかしい、政府のやり方はおかしい、という風に、他者に怒りの矛先を持っていきます。けれども、怒りの子どもたちがいなくなると、実はおかしいことがあるのは自分の心の中なのだ、ということがはっきりわかるようになります。私たちは、感情の原因が他者にあると思うことによって、他者の存在を現実だと思い込みます。感情の子どもたちがやっていた仕事というのは、感情の原因が他人や出来事にあるように見せかける仕事だったのです。
 
 
★過去の自分を抱きしめる★
静かなところでリラックスして、過去の自分を思い出してください。最初は5,6歳ぐらいの自分を思い出すといいでしょう。その子が、胸の中に立っていると想像して、その様子を眺め、その子の気分を感じてください。その子は元気でしょうか。心は弾んでいますか。それとも、何か悲しい出来事があって、沈んでいるでしょうか。
 
思い浮かんだことが、本当かどうかを気にする必要はありません。あなたが、今、感じることが真実なのです。
 
そっと、その子のそばに行って、名前を読んでください。それは、どんな名前でしょうか。お母さんがあなたを呼んでくれた名前ですか。それとも、お友達があなたを呼んだ名前でしょうか。いろいろな名前で呼んで、そのたびに何を感じるかに、注意を向けてください。
 
名前を呼んで、その子が振り向いたら、「私は未来のあなただよ。あなたを愛しているよ」と言ってあげてください。ゆっくりと抱きしめてあげてください。その子が楽しそうにしているなら、一緒に遊んでください。もし、何か悲しい出来事を思い出したら、「あの時はつらかったね」と言って、一緒に泣いてあげてください。
 
誰かにひどいことをされた、と思い出しても、その相手に仕返しをしようなどと考える必要はありません。ただ、一緒に泣いて、抱きしめてあげてください。「未来のあなたが、こうして会いに来ているのだから、あなたは絶対に大丈夫なんだよ」と言ってあげてください。
 
一緒に座って、お話をしてください。その子があなたに何を言いたいか、聞いてあげてください。しばらく一緒にいて、もういいと感じたら、「また来るからね」と言って別れてください。一回は5分から10分ぐらいでいいはずです。ただし、時間を測るのではなく、感じることを大切にしてください
 
このようなことを、呼び出す子の年齢を変えて、何度もやってください。同じ年齢にも、何度か尋ねてあげてください。そのうちに、どの子をもっとケアしてあげなければならないか、分かるようになってきます。そのようにして、過去の自分を優しく愛してあげてください。
 
結果をあわてて求めないように・・・ゆったりした気持ちで、一日に呼び出すのはせいぜい3人くらいまで・・・毎日、少しずつ進めてください。
 
ある程度、現世の自分のケアをしたら、過去世にも注意を向けてください。といっても、過去世について、何か具体的なことを思い出す必要はありません。ただ、自分は何百回もこの地球に生まれて、いろいろな人生を送ってきたのだと想像してください。そして、それらの人生に、今のあなたから、愛と感謝を送ってください。過去世の中の自分を愛するというよりは、その人生そのもの、あなたが生きた世界そのものを丸ごと愛するつもりで、感謝と愛を送ってください。何百もある人生を一つ一つ取り上げる必要はありません。あなたの過去の人生すべてを、まとめて愛してあげてください。
 
私たちが何度も生まれてきていろいろな人生を送るというのは、スポーツの選手がいろいろな試合に出場するのに似ています。勝った試合もあれば、負けた試合もあるでしょう。納得のいく働きができた試合もあれば、思い通りに力を発揮できなくて、悔しい思いをした試合もあるでしょう。個々の試合は、時間がたつにつれて忘れられていきます。けれども、それらの試合に出場したという経験は、決して消えません。それが、その後の選手の能力だけでなく、パーソナリティにまで影響を与えていきます。
 
私たちの過去の人生も同じです。個々の人生はすべて忘れていますが、それらの人生を生きたという経験が、いまのあなたを形作っているのです。過去の人生に愛を送るということは、現在のあなたのすべてを受け入れ、愛するということです。そして、このように自分自身のすべてを受け入れ、愛するということが、明日のあなたの人生に愛とエネルギーを供給するのです。
 
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このようなことを続けていると、あなたの心の隅々にまで、愛のエネルギーがいきわたって行きます。そうすると、あなたの心の傷が次第に癒され、やがて、あなたの感じることや想像する物語が変わってくると思います。
 
感情とは人生の瞬間瞬間における香りです。感情のない人生は味気ないものですが、感情に縛られる人生も不自由なものです。セドナ・メソッドの教えるところによれば、私たちはよい感情――いわゆるポジティブな感情―ーも手放したほうがいいそうです。そうすれば、もっとよい感情を感じることができるようになるそうです。さまざまな香りの漂う森の中を通り抜けるように、さまざまな感情を味わいながらそれを通り抜けて行ってください。森を通り抜けたところには、無限の愛と喜びの世界が開けているのです。



2008年6月7日掲載
2009年3月9日加筆
2014年7月31日転載


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