アセンション

L3 白鳥の湖(E3)

青く冷たい湖面をすべるように泳ぐ白鳥たち――しかし、それは魔法によって白鳥に変えられた乙女たちの姿だった。彼女たちは夜の間だけしか人間の姿に戻れない。その魔法を解くことができるのは、永遠に変わらぬ愛の誓いだけ・・・。

これは、皆さんよくご存知のチャイコフスキー作曲のバレエ「白鳥の湖」の物語ですが、世界各地の昔話や童話の中には、このように魔法によって姿を変えられた人間の物語がたくさんあります。
 
例えば、これはドイツに伝わる昔話です。
<< あるところにお母さんと三人の息子が住んでいました。お母さんは家を息子に譲ろうと思いましたが、誰に譲ればいいかわかりません。そこで、息子たちにそれぞれ一束の亜麻(あま)を渡して、「あなたの好きな娘さんにこの亜麻をつむいで織物を織ってもらいなさい。一番きれいな織物を持ってきたものにこの家を譲ります」と言いました。
二人の兄さんは喜んで出て行きましたが、三番目のハンスは、好きな娘さんもいないし、どうしたらいいかと思案にくれながら歩いていると、ヒキガエルが出てきて「自分にやらせてくれ」と言います。お人よしのハンスはヒキガエルに亜麻の束を渡してしまいますが、あとで考えるとカエルに織物が織れるわけがありません。ハンスはたいへん後悔します。けれども、あくる日、ハンスガ昨日の場所に行ってみると、とても美しい織物が木の枝にかけてありました。ハンスはそれを持って帰ってお母さんに見せました。それは誰のものより美しかったので、お母さんはハンスに家を譲ることにしました。
結婚式の日、ハンスは式の準備をして教会に行きましたが、「カエルと結婚するなんて・・」と困りきっています。そこへヒキガエルがぴょんぴょんと跳ねながら入ってきて花嫁衣裳の中に飛び込むと、たちまちきれいな娘さんになり、「私は魔法をかけられてカエルになっていましたが、ハンスが私を花嫁にしてくれたので、人間に戻ることが出来ました」といって、二人は結婚して幸せに暮らしました。  (福娘童話集「ハンスとカエルの嫁さん」による) >>
 

おとぎ話なら「魔法をかけられて白鳥やヒキガエルにされた美女」も素敵な物語になりますが、現実の世界がこんなことになったら大変ですね。
 
けれどもいま、その「大変」が現実になっています。私たちが生きているこの地球世界は、魔法にかけられて、その本来の美しさを失っています。人間と人間の間に不信と憎しみが渦巻き、戦争、犯罪、病気、貧困、環境汚染など、毎日いやというほどの暗いニュースを聞かされます。それに呼応するかのように、自然の災害も近年激しさを増しているように思われます。ハリケーンも、熱波や旱魃も、年々巨大化し、極地の氷は融け、海面上昇によって全体が水没してしまう危険にさらされている国さえあります。
 
皆さんは、これはどうしようもない人間世界の宿命だと思っておられるのではないでしょうか。人と人が憎みあうのは人間の本性だと思っておられるのではないでしょうか。

けれども、そうではありません。これは魔法なのです。人間はみんな魔法にかけられ、本来の美しさも優しさも賢さもすべて失ってしまったのです。
いったい誰がこんな魔法をかけたのでしょうか。「悪い魔法使い」は誰なのでしょうか。
 
それは・・・・・・あなたです!!
あなたが見ている世界に魔法をかけたのは、あなたなのです。
 
すべての人が、自分が魔法をかけた世界を見ています。Aさんが見ている世界は、Aさんの魔法にかけられた世界です。Bさんが見ている世界は、Bさんの魔法によって姿を変えられた世界です。
 
あなたは「そんなことはない!」と思うでしょう。あなたは魔法をかけた覚えなどありません。あなたはこの世界の中で苦しんでいます。「私は魔法の被害者だ」と思っているでしょう。

何という愚かな魔法使いなのでしょう!
自分が魔法をかけたことを忘れ、魔法の解き方も忘れて、自分がかけた魔法の世界の中で苦しんでいるなんて・・・。
 
そんなことになったのは、あなたが自分自身に魔法をかけたからです。大魔法使いであったあなたは、自分自身に魔法をかけ、ただの人間にしてしまいました。そのために、あなたは自分が魔法をかけたことも、魔法の解き方も忘れてしまったのです。私たち人間はみんな愚かな大魔法使いなのです。
 
でも、希望がないわけではありません。魔法を解く方法を思い出す手がかりは、昔話の中にちゃんと語り伝えられています。そうです。魔法を解く鍵は「永遠に変わらぬ愛」なのです。
 
いったい私たちが使った魔法というのは、どんな魔法なのでしょうか。それにはたくさんのバリエーションがあります。不平、不満、批判、非難、怒り、恐れ、憎しみ、軽蔑、諦め、絶望、冷淡、無関心・・・まだまだありますが、それは一言で言えば「呪い」の魔法です。

私たちの日常の心の動きをよく観察してみてください。ほとんど四六時中、休みなしに、何かしら「呪い」の思いを心の中に作り出しているのではないでしょうか。政治に対する不満、経済に対する不満、社会に対する不満、家族に対する不満、職場に対する不満、学校に対する不満、友人に対する不満、そして自分自身に対する不満・・・・程度のごく軽いものまで数えたら、ほとんどひっきりなしに、私たちは何かに対する不満を抱いています。

私たちは、何かよいことがあったときでさえ、それを素直に喜ばず、どちらかといえば不満や心配のほうにすり替えようとします。
「ここがちょっとこうなっていたら、もっとよかったのに!」
「こんなにいいことが続いたら、その内にドカンと何か悪いことが起こるるのじゃないかしら・・・」
 
私たちは、よいものを見ても、優れた芸術作品を見ても、ただ手放しで感心しているだけでは自分の知性を疑われるといわんばかりに、欠点を探して批判したがります。
 
これらはすべて呪いなのです。「お前はよいもの、美しいものであってはならない」という呪いを、あなたは全世界にかけているのです。その結果、あなたの住む世界のすべての人が魔法にかけられてしまいました。人間の姿は変わりませんが、その心が、オオカミやハイエナや毒蛇やサソリのようになっているのです。
 
あなたは、こんな世界を変えたいと思いませんか?
何とか、もっとましな世界にしたいものだと思いませんか?
もしそう思うなら、二つのことをしてください。
 
第一に、あなたが見ている世界はすべてあなたの責任であるということを認めてください。そこで起こっていることが何であろうと、もしあなたの気に入らないことが起こっているなら――たとえそれが異国の大統領の行動であろうと――それをあなたが見ているというだけで、あなたの責任なのです。なぜなら、大統領に呪いの魔法をかけてそのような姿にしたのは、あなた自身だからです。
 
第二にその魔法を解除するという宣言をしてください。「私は、私がかけた呪いの魔法のすべてを無効にする」という宣言を、あなたの心の中で、はっきりと何度も繰り返してください。それを宇宙に向かって叫んでください。
 
あなたが魔法をかけたのは、今世だけではありません。前世でも、前々世でも、その前の人生でも・・・あなたは、何回も生まれ変わりながら、何千年にもわたって、世界に呪いをかけ続けてきたのです。いま、そのすべてを解除すると宣言してください。あなたがかけた魔法を解くことが出来るのは、あなたのほかにはないのです。
 
あなたが未来世でかけることになっていた呪いも、すべて解除してください。あなたはもはや絶対に呪いの魔法は使わないと宣言してください。
 
それが終わったとき、もし晴れた昼間であったら、ちょっと外へ出て空を見上げてください。青空が少し美しくなったような気がしませんか? 空気が少し透明になったような気がしませんか? ちょっとだけ、光がまぶしくなったように感じませんか? あなたの世界を覆っていた呪いのヴェールが取り除かれ、宇宙の根源から送られてくる愛と生命の光が、いま、何の妨げも受けずに、すべての人に、すべての場所に、降り注がれています。それは、すべての人の凍りついた心を融かし、ハイエナや毒蛇に変身していた心をもとに戻し、徐々に生命をよみがえらせます。
 
あなた自身も、魔法をとく鍵である「永遠の愛」を全世界に向けて送ってください。すべての人に「あなたがますます美しくなるように」と祝福の言葉を送ってください。あなたが最も許せないと思っている「悪い人」を思い浮かべて、「あなたの本来の美しさが、あますところなく表れますように」と祈ってあげてください。それはあなたの魔法によってヒキガエルにされた美しい娘さんかも知れないのです。 
 
毎朝、目覚めるたびに、魔法解除宣言をしてください。一日中、すべての人に、すべての出来事に、愛と祝福の言葉を送ってください。夕方、寝る前に、もう一度魔法解除宣言をしてください。やがてあなたは、本来の地球と本来の人間がどんなに美しい存在であったかを、目の当たりに見るようになるでしょう。

2007年9月17日

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