魂のインターネット

仮想現実の作成メカニズム


私たちは、心の中に「仮想体験スクリーン」を持っていて、そこに映し出される仮想の世界を「外界」だと思っています。この仮想の世界は、私たち一人一人の意識が自分でつくり出します。それは自分自身の意識の中に何があるかを見せてくれる「意識の鏡」なのです。

現在私たちの心の中のスクリーンには物質世界が映し出されています。それは基本的には、地球上に住むすべての人にとって同じ一つの世界です。私たち地球に集まっている霊的存在は、「地球世界ゲーム」という一つのゲームに参加し、そこで互いに肉体を通じてかかわりあう体験をするということに同意したので、自分のスクリーンに描く世界の姿をできるだけ他の人とあわせるようにしています。けれども一人一人のスクリーンに描かれる世界の姿は一人一人が自分でつくり出しているので、一人一人少しずつ違っています。その違いが起こるのは、スクリーンに描かれる世界の姿がそれぞれの人の意識の鏡の役を果たしているからです。

この「外界」の映像がつくられるメカニズムを簡単な模式図に表したのが図5です。基本的には図2と同じですが、仮想体験スクリーンと霊的世界のインターネットがつながるところに「外界作成装置」という箱が置かれています。この装置は、この心の中にある意識の全体、すなわち顕在意識と潜在意識の両方の影響を受けて働き、スクリーンに映し出す「外界」の姿をつくり出すのですが、この装置があるため、霊的世界のインターネットに流れる情報のすべてが私たちの心に入ってくるのではなく、一部の情報だけが入ってくることになります。

この装置は、大きく分ければ、「選択」「共鳴」「強調」という三つの働きをします。
「選択」というのは、霊的世界のインターネットから取り込む情報を選別する働きです。私たちは霊的世界のインターネットから情報を取り込んで、それをもとに仮想体験スクリーンに「外界」と考える仮想世界を描き出すのですが、そのときに、霊的世界のインターネットから取り込む情報が選別される、あるいは別の言葉でいえば、制限されるのです。あとで「ホームページ」の章で述べるように、霊的世界のインターネットには、霊的世界に存在するすべての霊的存在が自分のホームページを登録していて、そこにそれらの霊的存在に関するあらゆる情報が提供されています。基本的に霊的世界には秘密というものはないのです。けれども、霊的世界に存在するだれでもがこの情報のすべてを読むことができるわけではありません。特に霊性を忘れた私たち人間は、ほとんどの情報を読むことができません。そのために私たちの視野は非常に狭くなっており、それが、私たちが意識を拡大し霊性を回復するのを遅らせる原因になっています。逆に、私たちがある程度霊性を回復し、意識を拡大すると、読める情報も多くなります。するとますます意識の拡大が加速され、急速に霊性を取り戻すことができるようになります。

私たちが読める情報が制限されるのは、何か別の力によって制約されるからではありません。私たちが読む情報が、自分自身の意識によって規制されるからです。特に人間の場合には、意識のほとんどが潜在意識となっており、自分で自覚していないので、霊的世界のインターネットから取り入れる情報をどのように制限しているかも、ほとんど気づくことができません。

まず第一に、私たちは「地球世界ゲーム」というゲームに参加しているので、このゲームに参加していない存在の情報は読まないことにしています。別に読んでいけないということはないのですが、地球世界ゲームに集中するために、そして、その第一段階である「霊性喪失」を達成するために、そのような情報は読まないことにしてきたのです。けれども今は霊性を回復する段階ですから、だんだんそういう情報も読むようにならなければいけないのです。

また私たちは自分が肉体だと思い込んでいるので、霊的世界のインターネットから他の霊的存在の物質的形態に関する情報しか取り入れません。したがって物質世界に形を持っていない存在の情報は無視してしまい、そのために私たちはそのようなものは存在しないと思ってしまいます。

私たちは、自分が肉体であって物質世界の中の物理的な時間空間の法則に縛られていると思っていますから、物理的に接触可能な存在のデータしか取り入れません。したがって、物理的に見えないような遠方にいる人の情報を見ることもなければ、すでに死んだ人やまだ生まれていない人の情報を読むこともありません。

さらに私たちは、自分のプライバシーを侵されるのを嫌いますから、他人のプライバシーにかかわるような心理的内面の情報なども読めません。このため、私たちのコミュニケーションは言葉や肉体の動作を中心とした非常に狭い範囲のものとなり、誤解や曲解を生じ、相互不信を引き起こすもとになります。

このように私たちは、自分で自分が読む情報を強く制限しており、それによって、逆に自分の潜在意識の中にある「人間は物質である」とか「時間空間に制約された存在である」という信念が崩壊するのを防いでいるのです。

次に「共鳴」という働きがあります。「選択」がただあるものの中から選別するという受動的な機能であるのに対し、「共鳴」という働きはもうすこし能動的な性質を持っています。それは、「地球世界ゲーム」に参加している他の霊的存在の心とのあいだに霊的世界のインターネットを通じて「共鳴」を引き起こし、新たな情報を生み出すのです。それは、肉体の人間が集まって言葉で話し合いをし、意気投合して、ある行動を生み出すのに似ています。外界作成装置は言葉を発するわけではありませんが、自分の心の波動を霊的世界のインターネットに送り込み、それと共鳴する波動を持った他の存在の心と共鳴して、その波動を次第に強めて行きます。そして波動がある大きさまで強くなると、それは一つの形を持った出来事になります。共鳴した心の数が少なければ、日常的な小さな事件が起こります。もし非常に多くの心が共鳴すれば、大きな地球的あるいは社会的事件が起こります。事件というのは、別に悪い出来事に限りません。歓迎すべき嬉しい事件も同じようにして起こるのです。

たとえば、「世の中はいつ何が起こるかわからない」という不安を持っていると、本当に何の理由もなしにあまり歓迎できない事件に巻き込まれてしまうことになります。それはまったくの偶然としか思えません。その結果「何が起こるかわからないから用心しなくてはいけない」という潜在意識の信念がますます強化されることになります。

つまり、潜在意識にある観念や深いところに隠されている感情などを強化するような方向に「共鳴」が起こるのです。

最後に、仮想体験スクリーンに外界の姿が描き出されるときに、この装置は「強調」という働きでもとになる情報の一部を強調したり、逆に弱めたり、まったく無視したりします。これによってスクリーンに映し出される外界の姿は、一層意識の内面にあるものを色濃く反映したものになって行きます。

このようにして、「選択」「共鳴」「強調」という三つの作用は、いずれも意識の中にある信念をスクリーンの上の世界に投影するように働きます。そのため、私たちがスクリーンに映し出された世界の姿を見て、そこから「世界とはこんなものだ」という結論を導き出すことを続けている限り、私たちが心の中に持っている信念は強化される一方です。

一方で、私たちはいくら信念を持っていてもそのようにはならないということも経験しています。、それは、私たちが顕在意識に持っている信念と潜在意識に持っている信念とが衝突しているのです。もし私たちが心の中に正反対の信念を持っていたとすると、その二つの信念がお互いに打ち消しあうことになります。ところが、その一方が潜在意識にあるときには、その方の働きが強く、たいてい顕在意識にある信念の方が負けてしまいます。それは、顕在意識にある信念は意識しているときにしか働きませんが、潜在意識にある方は無意識のうちに働いていますから、一日中休みなく効果を発揮しているからです。したがって、私たちの意識全体は、絶えず自分の潜在意識に引っ張られて行くことになり、しかも私たちは潜在意識の中に何が隠されているか知りませんから、自分がどうなって行くのかさえ、自分の意志でコントロールできないような状態に陥っているのです。

もし私たちが霊性回復への道を進もうとするなら、この潜在意識と外界作成装置が互いに影響しあって潜在意識の中の信念を強化しつづける「わな」から抜け出さなければなりません。
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