霊性の時代

A17 イグアナのように


先日、NHKのテレビ番組で、とても感動的なシーンを見ました。それは、ガラパゴス諸島に住むウミイグアナと呼ばれるトカゲの生態です。ウミイグアナは体長1メートルぐらいの黒っぽいトカゲです。海に潜って海底の苔や海草を食べて暮らしています。トカゲは周囲の環境の温度に応じて体温が変化する変温動物です。このあたりの海は寒流が流れているので、赤道の真下にありながら、海水の温度は20度にもなりません。ウミイグアナは長く潜っていると体温が下がって動けなくなるのだそうです。
 
毎日、夜が明けると、イグアナたちは夜の間に冷えた体を温めるために午前中いっぱい日向ぼっこをします。昼ごろになってようやく海に入るのですが、それでも潜っていられるのは2時間ぐらいです。動けなくなる寸前にイグアナたちは陸に戻ってきて、また日向ぼっこをします。体温が上がらないと、食べたものを消化することもできないのだそうです。こうして、イグアナたちは一生懸命、太陽の光を浴びながら生きているのです。海岸の黒い岩の上に集まってきたたくさんのイグアナたちが、互いに重なり合うようになりながら、頭を太陽のほうに向けてじっと身動きもせずに、ひたすら光を浴びている姿がとてもいじらしく、感動しました。
 
実は、私たち人間も、イグアナたちと同じように光を浴びる必要があります。自然の太陽の光ももちろんですが、いま私たちにとって必要なのは、霊の太陽の光です。霊の太陽は肉眼で見ることができないので、私たちは霊の光を浴びることはもちろんのこと、霊の太陽の存在にすら気づいていません。私たちが気づいていなくても、その存在を知らなくても、霊の太陽は存在します。その光は今も私たちの上に降り注いでいます。けれども、私たちがそれを意識的に受け入れなければ、私たちはその光を浴びることはできません。それは、ガラパゴスの島々の上に太陽の光が降り注いでいても、イグアナたちが岩の上に出てこなければその光を浴びることができないのと同じです。
 
A11 遭難した探検隊でお話したように、私たちは意識的に霊の太陽の光を遮断し、自らの霊的エネルギーのレベルを下げてきました。これから、再び霊性を取り戻すためには、霊の太陽の光を浴びて、霊的エネルギーのレベルを上げなければなりません。それはイグアナたちが太陽の光を浴びて体温を上げるのと同じです。私たちは心の温度を上げなければならないのです。
 
最初に掲げた写真は、ガラパゴス諸島の風景ではありませんが、これを見ながら、あなたがガラパゴスのウミイグアナになったつもりになってみてください。あなたの頭の上に美しい霊の太陽が輝いていると想像して、その光をじっと浴びてください。霊的な光線が体中の細胞を暖め、心の細胞を温めるのを想像してください。
 
この瞑想はいつでもできます。電車に乗っているときでも、お風呂に入っているときでも、寝る前にベッドの中でも、できるところでいつでもやってください。時間も、長くても、短くても、かまいません。目を閉じても、開いていてもかまいません。ほかの仕事をしているときでも、いつも霊の太陽の光を浴びながら仕事をしていると考えてください。このようにして、霊の太陽の光を浴びることが習慣になると、あなたのエネルギーのレベルが上がって来ます。エネルギーレベルが上がると、自然にものの見方が変わり、世の中に対する反応の仕方が変わり、自分自身の扱い方が変わってきます。あなたの意思を霊的エネルギーのレベルを上げることに集中して、ほかの事は成り行きに任せていればいいのです。
 
ガラパゴス諸島のイグアナたちは、いくら日向ぼっこをしてもイグアナのままです。けれども、私たちが日向ぼっこをして本当に霊的エネルギーのレベルを上げることに成功したら、私たちは霊的世界のイグアナにとどまっていることはありません。私たちは、無限の愛と、無限の智慧と、無限の力と、無限の生命を持った本来の姿に帰るのです。

2005年8月15日

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