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霊という言葉


本書は霊、霊的、霊性といった言葉をたくさん使っていますが、読者の中には「霊」という言葉にあまりよいイメージを持っておられない方もあるかも知れません。日本では、霊という言葉は「死者の霊」という意味で使われることが多いからです。霊界という言葉も、現在では、「霊界=@霊魂の世界、死後の世界。A精神およびその作用の及ぶ範囲。精神界。」とされています(新村出編、広辞苑、第四版、岩波書店)。同じ広辞苑の第一版には、「霊界=精神およびその作用の及ぶ範囲」とされていて死後の世界という意味は記載されていません。半世紀近くのあいだにこの言葉の使い方が変わってきていることがわかります。

日本語の中では、霊という言葉は、すくなくとも次のような4種類の意味を使い分ける必要があると思います。

@神または神性とほぼ同義の場合
  神は霊である(聖書)、聖霊
A人間特に死者の魂、または死者そのものを表す場合
  霊魂、霊位、死霊、生霊、霊界、幽霊、霊柩車
B非物質的な存在一般を表す場合
  精霊
C不思議、高貴、超といった意味を表す場合
  霊異、霊感、霊力、霊験、霊妙、霊域

霊という文字を漢和辞典で引くと、もともとは「天の恵みを表す」文字であったとされています(貝塚茂樹・藤野岩友・小野忍編、角川漢和中辞典、角川書店、p1177)。つまり何かしら人間の力を超えたものという意味があったと思います。

本書では、@に相当する「神と同質」という意味でこの言葉を使っていますが、もうすこし詳しくいえば、存在するものを次のような三段階の階層として考えています。

第一次の存在は神です。神は何者からもつくられず、それ自体で存在する純粋の意識です。

第二次の存在は、本書で霊的存在または霊(スピリット)と呼ぶもので、それはすべて神の思考によって生まれた神の想念であり、神の性質「神性」を受けついでいます。これらの霊的存在はすべて神の意識の中に存在します。したがって「霊的世界」は「神の意識の中」と同じ意味であり、霊性とは「霊的存在である」ことを意味します。本書では、霊的存在の一部を「体験者」と呼ぶことがあります。これは、神の意識の中に個別的主体性を持って存在し、自らの中にさまざまな意識の具体的表現をつくり、それを自ら体験するものを指しています。これは神自身が個別的具体的な体験を認識するプロセスそのものです。詳細は第2部「神と人間」を読んでください。

第二次の存在である霊が自らの中につくり出す具体的体験の姿が第三次の存在であり、物質世界がそれに相当します。それは第二次の存在から見れば、自らの意識の中にある「仮想」の存在と見なされます。

「仮想」という言葉は、それらの存在の価値を低く見て使うわけではありません。存在の階層を表す言葉なのです。ある階層の存在にとって、自分を生み出す「上位」の階層は「実在」であり、自分と同じ階層の存在は「現実」であり、自分が生み出した存在は「仮想」です。肉体人間から見れば、霊的世界は実在であり、物質世界が現実であり、コンピュータの中の世界は仮想世界あるいは仮想現実です。人間が霊性を回復して、自らが霊的階層に属することを自覚したときには、物質世界は本当に「仮想現実」と感じられるようになるのです。
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